住み慣れた家で、医療と介護の安心を。「看護小規模多機能型居宅介護」とは？

在宅でご家族の介護をされている方なら、一度はこのような想いや悩みを抱いたことがあるかもしれません。

高齢化が進み、医療ニーズの高い方が在宅で療養するケースが増える中、注目を集めているサービスがあります。それが「看護小規模多機能型居宅介護（かんごしょうきぼたきのうがたきょたくかいご）」、通称「看多機（かんたき）」です。

今回は、この「看多機」がどのようなサービスで、どんな安心をもたらしてくれるのかを、分かりやすくご紹介します。

「看多機」って、一体どんなサービス？

「看多機」をひと言で説明すると、「通い」「泊まり」「訪問介護」に「訪問看護」をプラスした、4つのサービスを一体的に提供してくれる事業所のことです。

これまでの介護サービスでは、「デイサービスはA事業所」「ショートステイはB事業所」「訪問看護はCステーション」というように、それぞれ別の事業所と契約し、利用するのが一般的でした。しかし看多機では、これらすべてを一つの事業所が、顔なじみのスタッフで提供してくれます。

看多機が提供する4つのサービス

• 通い（デイサービス）：事業所に通い、食事や入浴、機能訓練、他の利用者との交流などを楽しみます。
• 泊まり（ショートステイ）：必要に応じて、通い慣れた事業所に宿泊することができます。家族の急な用事や休息（レスパイト）にも対応できます。
• 訪問介護：自宅での食事や排泄の介助、掃除や調理などの生活援助を受けられます。
• 訪問看護：看護師が自宅を訪問し、点滴の管理、床ずれの処置、健康状態のチェック、服薬管理などの医療的ケアを行います。

これらのサービスを、利用者一人ひとりの状態や希望に合わせて、柔軟に組み合わせて利用できるのが最大の特徴です。

看多機を利用すると、どんなメリットがあるの？

どんな人におすすめ？

看多機は、特に以下のような方々にとって心強い味方となります。

• 退院直後で、医療的ケアが必要な方
• がんのターミナルケアや難病など、在宅での看取りを希望している方
• 認知症があり、環境の変化に敏感な方
• 日々の体調変化が大きく、柔軟な対応が必要な方
• 複数の介護・看護サービスを利用しており、連携や調整に負担を感じているご家族

利用する前に知っておきたいこと

多くのメリットがある看多機ですが、利用を検討する際にはいくつか注意点もあります。

• 担当ケアマネージャーの変更
  看多機を利用する場合、その事業所に所属するケアマネージャーがケアプランを作成することになります。長年お付き合いのあるケアマネージャーがいる場合は、変更が必要です。
• 他のサービスの利用制限
  包括的なサービスのため、原則として他のデイサービスや訪問介護、ショートステイ、訪問看護などは併用できなくなります。
• 定員がある
  小規模な事業所のため、登録できる人数に上限があります。

まとめ

「看護小規模多機能型居宅介護（看多機）」は、医療ニーズの高い方が、住み慣れた地域やご自宅で、その人らしく安心して暮らし続けることを力強く支えるサービスです。

介護と看護が一体となることで生まれる安心感は、利用者本人だけでなく、支えるご家族にとっても大きな希望となります。
「もしかしたら、うちの家族に合っているかもしれない」と感じたら、まずは担当のケアマネージャーや地域包括支援センター、お近くの看多機事業所に相談してみてはいかがでしょうか。

「最期まで自分らしくありたい」という大切な願いを叶えるための、素晴らしい選択肢がそこにあるかもしれません。