食中毒のおはなし

協立病院 医療安全管理課感染制御チームより、地域向けICTニュースが発行されました!
感染対策や健康に関連した情報をコラムとしてお届けします!
今回のテーマは「食中毒」についてのおはなしです。

5月下旬となり、夏の食卓に備え始める季節となりました。これからの時期、心配なのが『食中毒』です。

食中毒を引き起こす主な原因には、以下のようなものがあります。

  • ウイルス(ノロウイルスなど)・・・・60%
  • 細菌(カンピロバクター、サルモネラなど)・・・31%
  • 寄生虫(アニサキスなど)・・・7%
  • 自然毒(フグ毒、毒キノコなど)・・・1%

原因別発生割合(R5年11月時点の食中毒発生事例、速報値・厚労省より集計)

細菌性食中毒は6月〜8月頃の夏場に多く、ウイルス性食中毒は11月〜3月頃の冬場に多いのが特徴といわれています。近年は気候変動の影響か、流行期以外の時期にも食中毒が発生したり、アニサキスによる被害が増えていること等が報道されています。

食中毒は原因となる細菌やウイルスの種類によって潜伏期間が異なるため症状が出るまでの時間はまちまちです。以下に主な食中毒の原因微生物とその特徴をあげてみます。

名称原因となる食品など潜伏期間特徴
カンピロバクター主に鶏肉や生野菜2〜7日程度酸素のない状態では増殖しない、乾燥に強いが加熱に弱い
サルモネラ属菌主に食肉や加工肉、卵6〜48時間加熱や消毒剤に強い
腸管出血性大腸菌加熱が不十分な肉や生野菜1〜3日程度熱や消毒剤に強い
セレウス菌チャーハンやパスタなど嘔吐型:30分〜6時間、下痢型:6〜15時間28℃〜35℃で増殖しやすい
黄色ブドウ球菌切り傷のある指で触った食品30分〜6時間程度通常の加熱では毒素が分解されない
ノロウイルスカキのような二枚貝24〜48時間程度感染力が非常に強い
ボツリヌス菌缶詰、瓶詰、真空パック食品12〜24時間熱に極めて強い芽胞を作る
アニサキス魚介類の内臓1〜10時間程度目視できる、冷凍と加熱に弱い

食中毒の主な症状は『嘔吐』『下痢』『腹痛』『発熱』などです。 これらの症状が長く続くとき、
特に小さなお子さんや高齢者で脱水症状を引き起こし、重篤な状態になることがあります。

食中毒にならないよう厚生労働省のリーフレットを参考に予防に努め、楽しい夏を過ごしましょう!

家族でできる 食中毒予防の6つのポイント

食中毒予防の3原則は、「付けない、増やさない、やっつける」です。
家庭で食中毒を予防するためにできる、具体的な6つのポイントを確認しましょう。

Point 1:食品の購入

  • 寄り道しないでまっすぐ帰宅しましょう。
  • 消費期限などの表示をチェック!
  • 肉・魚はそれぞれ分けて包む。できれば保冷剤(氷)と一緒に。

Point 2:家庭での保存

  • 帰ったらすぐ冷蔵庫へ!入れるのは7割程度に。
  • 肉・魚がもれないように包んで保存。
  • 保存中は庫内温度に注意し、扉の開閉は控えめにしましょう。
  • 冷蔵庫は10℃以下に維持。
  • 冷凍庫は−15℃以下に維持。

Point 3:下準備

  • 冷凍食品の解凍は冷蔵庫で。
  • タオルやふきんは清潔なものに交換。
  • ゴミはこまめに捨てましょう。
  • こまめに手を洗う
  • 井戸水を使っていたら水質に注意
  • 肉・魚は切ったら洗って熱湯をかけておく。
  • 肉・魚は生で食べるものからまず切る。
  • 野菜もよく洗う
  • 包丁などの器具、ふきん煮沸消毒

Point 4:調理

  • 作業前手を洗う
  • 台所は清潔に。
  • 加熱は十分に(めやすは中心部分の温度が75℃で1分間以上)。
  • 電子レンジを使うときはムラなく加熱されるようにする。
  • 調理を途中で止めたら食品は冷蔵庫へ。

Point 5:食事

  • 食事の前手を洗う
  • 盛り付け清潔な器具、食器を使う。
  • 長時間室温に放置しない。

Point 6:残った食品

  • 時間が経ち過ぎたり「ちょっとでも怪しい」と思ったら、思い切って捨てる
  • 残った食品の作業前手を洗う
  • 手洗い後清潔な器具、容器で保存。
  • 温めなおすときは十分に加熱する(めやすは75℃以上)。
  • 早く冷えるように小分けする。